【ヨガ哲学に学ぶ生きる術とは】ヨガをさらに深められる八支則
juno

体育大学を卒業後、ヨガインストラクターとして活動。
産後、ライターとしてもヨガの魅力を発信している。
もくじ
- 「八支則」とは?
- 「八支則」の紹介
- まとめ
みなさんこんにちは!ライターのjunoです。
突然ですが、みなさんはヨガを始める前に「ヨガ」と聞いて何を思い浮かべましたか?
手足が綺麗に伸びたポーズや、深い呼吸、ぴったりとしたウェア…などでしょうか?
しかし、日々ヨガを継続していくと「ヨガ」とは単純にポーズや呼吸だけではないと漠然と気付かされますよね。
今回は、奥深いヨガの真髄であるヨガ哲学に触れていきましょう。
ヨガ哲学の中から、今すぐにでも実践しやすい「八支則」について紹介していきます。
「八支則」とは?

ヨガには、「ヨガスートラ」というヨガの教えが記された経典が存在します。
編纂された時期は、なんと紀元前2世紀から5世紀頃!
気が遠くなるほどはるか昔に遡りますが、その教えは現代を生きる私たちにも深く影響を与えています。
そんなヨガスートラには、八支則についてヨガを深める上での8つの段階と記されています。
8つそれぞれの段階を一つ一つ上り詰め、頂点を目指すことによってヨガを深められるというもの。
早速、土台となる1つ目からみていきましょう。
「八支則」の紹介

1:ヤマ(禁戒)
やるべきではないことを意味する「ヤマ」。
このヤマは、さらに5つに細かく分かれています。
①アヒムサ(非暴力)
直接相手に暴力をふるうことはもちろん、言葉・行動も暴力へと繋がっていきます。
何気ない言葉や行動、物理的な破壊は加えずとも相手には暴力に繋がっているかもしれません。
②サティア(嘘をつかない)
何かを誤魔化そうとつい嘘をついてしまうことだけでなく、自分を守ったり正当化するために嘘をついていませんか?
エゴやプライドのために偽るのは、自分にも嘘をついていることになります
③アスティア(不盗)
アヒムサ(非暴力)に通づるように、物理的な窃盗だけではありません。
遅刻により「時間」を盗んだり、心配りのない言動などから相手にストレスを与え「エネルギー」を盗んでいたり…不盗に当てはまることを考えてみましょう。
④ブラフマチャリア(禁欲)
ヨガの教えにより、生涯を独身として貫くことが良しとされていた背景から、ここでの欲は性欲を指します。
ただ「我慢をする」のではなく、「エネルギーを本来使うべきところで発揮する」という教えに繋がります。
現代に置き換えると、パートナー以外との肉体関係や、寂しさや虚しさを紛らわすための恋愛などが当てはまりますよね
⑤アパリグラハ(不貪)
「必要以上に所有しないこと」を意味します。
そのためには、執着を手放す必要がありますよね。
物理的にはもちろん、人間関係や現在の環境など広く当てはまります。
ヤマ(してはいけないこと)の次は「するべきこと」です。
ヤマと同じように、さらに5つに分かれいます。
①シャウチャ(清浄)
身の回りの掃除はもちろん、心の清浄にも繋がります。
片付けをしていると、なんだか心までスッキリした!なんて経験はありませんか?
「部屋は心を映し出す鏡」というように、身の回りと心の清浄は密接に繋がるもの。
身の回りや身だしなみを整え、ネガティブな感情を手放して常に清浄を保ちましょう。
②サントーシャ(満足)
「足るを知る」という教え。
つい無いものばかり目につき、頭を悩ませてしまいますよね。
健康状態や容姿、置かれている環境や人間関係など、今自分が持っているものを見つめ大切にしていきましょう。
③タパス(鍛錬)
自己成長のためであるならば、「困難な道を選択する」という教えです。
しかし、迷った時に常に困難に思える方を選択をするのではありません。
困難の先に自己成長に繋がるように思えず、ただ苦しく耐えるのは自分への嘘に繋がってしまいます。
④スヴァディアーヤ(学習)
自分をより良い状態に導く書物に触れることを意味します。
厳密にはヨガに関する書物などを指しますが、感性が磨かれたり琴線に触れるような読書体験を日々積みましょう。
⑤イーシュワラプランダーナ(信仰)
「自分の内なる神を信じて流れに身を任せる」という教えです。
神というと、宗教上の信仰のイメージが強いですが本当の神は自分の心に宿るもの。
物事が思うように進まず悩みを抱える時でも、自分を一番に信じ心の声に耳を傾けてみましょう。
無理に決断したり行動するのではなく、時には流れに身を任せることも重要です。
アーサナとは「瞑想に集中できるような安定した坐法」のことです。
ヨガスートラには、ポーズについて記されている部分はとても少ないんです。
一般的にヨガというとポーズのイメージが強いですが、「ヨガ」を本質的に見つめるとポーズは一部に過ぎないということが伺えますよね。
単純にポーズではなく、あくまで「瞑想のための坐法」であることを理解しましょう。
4:プラーナヤーマ(呼吸法)
アーサナ(坐法)と同じように、ここでの呼吸法もポーズのためではなく、「瞑想」のために呼吸法を整えることを意味します。
集中して瞑想を行うには、深い呼吸が必要。ヨガの時だけ意識するのでは深い呼吸は身につかないので、日常生活でも意識してみましょう。
外側から感じ取ったものを内側へと向けて、感覚を制御することを意味します。
見たり聞いたり、外側から感じ取った情報で感情を乱すのではなく、自分を客観視して内側に落とし込みましょう。
6:ダーラナ(集中)
集中することを意味します。
高い集中力を維持できると瞑想への扉が開いていきます。
7:ディアナ(瞑想)
瞑想のための坐法・呼吸法、感覚の制御、集中力…そう、八支則は瞑想への階段を登っていたんです。
ここでの瞑想とは、「雑念が解放された完全な瞑想状態」を指します。
瞑想中に雑念が浮かび、「集中しなきゃ」「考え事を止めなくちゃ」と思った経験はありませんか?
プラティヤハーラ(制感)とダーラナ(集中)を達成した先には、意識的に努力をしなくても瞑想状態に入ることができます。
ヨガの最終目標である悟りの状態。
長時間の瞑想状態を保てるだけでなく、対象のものと一体感を感じられるようになります。
つい他人と比べてしまうように、私たちは「自分」を他の人や物と別の対象として捉えていますよね。
しかし、このサマーディは「自分」という区別がなくなり周りと調和して万物と融合した状態。
「自分」と「その他の物や人」といった区別がなくなり、解けるように調和することがヨガの最終到達点なんです。
まとめ|八支則についてもう一度おさらいしましょう!

八支則は「ヨガを深める上での8つの段階」を意味し、一つ一つ段階を経た先にヨガの最終目標に繋がります
ヤマ(禁戒)
ニヤマ(勧戒)
アーサナ(坐法)
プラーナヤーマ(呼吸法)
プラティヤハーラ(感制)
ダーラナ(集中)
ディアナ(瞑想)
サマーディ(悟り)
いかがでしたか?
紀元前2世紀から5世紀頃に編纂されたちは思えないほど、私たちの日常にも繋がる教えですよね。
特に、ヤマ(禁戒)とニヤマ(勧戒)は理解しやすく、すぐに実践できるものばかりです。
ポーズや呼吸法の実践からさらにステップアップし、ヨガの本質に触れることができる八支則も取り入れてみてくださいね。